この話の可能性の一つ。
何の予定もない休日。
特にすることもなくて、何となく彼女に会いたくなった。
彼女を探して食堂に来てみると、彼女の友人たちがお喋りをしていた。
もしかしたら、彼女も後からここに来るかもしれないと思い、お茶を貰って少し離れた席に座った。
何気なしに話を聞いていると、どうやら彼女の友人たちは今日の予定について話しているようだった。
話の中身は、市が立つ日だから町に行こう、とか、新しい色の紅が買いたい、とか。
そんなことをわいわいと、とても楽しそうに話していた。
一人が、もうすぐ彼女が先生の用事を終わらせる頃だから誘いに行こう、というのを聞いて席を立った。
「あのさ、それ諦めてくれない?」
「・・・え?」
いきなり声を掛けたからか、訳が分からないという顔をされたが、すぐに察しがついたようだ。
「もしかして尾浜、あの子を誘うつもりだった?」
「逢引するの?」
「そう。俺が誘うから、諦めて」
ね、と人好きのする笑顔を作って言えば、皆快く承諾してくれた。
町へと出掛けていく彼女の友人たちを見送り、さて自分も彼女を誘いに行こうと食堂を出る。
その時にふと、良いことを思いついた。
少し時間を置いて、彼女が独りに寂しさを覚えた頃を見計らって誘う、というのはどうだろうか。
理由なんてものはないけれど、なんだか面白そうだから実行することにしよう。
彼女は独りでいることが苦手なのに、それを決して外に出そうとはしない。
そんな彼女に少し悪いかとも思ったが、その分後でたくさん可愛がって、たくさん甘えさせれば、きっと大丈夫。
とにかくまずは彼女を探さなければ、と歩き出した。
2012.1.31 浹
2012.7.29 加筆修正
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