外では昨日からの雨が未だ止まずに降り続いている。
委員会の皆は来ていなかったから、待っている間にと端切れを手に取った。
少しして、三郎がやってきた。

「何してんだ、?」

黙々と作業をしている私に、三郎が不思議そうに尋ねる。

「ん、てるてる坊主を作ってるんだよ」

ほら、と真っ白なそれを見せる。
自画自賛になってしまうが、中々いい出来だ。

「結構、かわいく出来てるでしょ?」
「こんなもん、誰が作ったってそう変わらんだろう」
「そこは嘘でも肯定しようよ」
「それより、なんでこれを作ってるんだ?」

制作中のてるてる坊主を、ふにふにと突きながら興味なさ気に三郎が言う。
・・・せっかく真ん丸に出来たのに、ほんの少しだけ歪んでしまった。

「これは、一年生の為に作ってるんだよ」
「一年生の?」
「そう。明日、一年生は遠足なんだって」
「へぇ」

三郎の手からてるてる坊主を取り返し、吊るす為の糸を付ける。

「最近雨が降ってばっかりじゃない?」
「梅雨の時期だからな、仕方ないだろう」
「でも、遠足の日ぐらい綺麗に晴れてほしいじゃない」
「その為のてるてる坊主、というわけか」

糸を付け終わり、ついに完成。
いい出来なんだけど、なんか物足りない気がする。

「だが、遠足って言っても、要は遠くの山までマラソンってだけじゃないか」
「そうだけど、雨の中マラソンより、晴れてる方がいいと思うわけ」
「そうか?」
「そうだよ。あ、良いこと思いついた」

物足りないなら足せばいいんだ。
筆を手に取り、てるてる坊主に顔を描く。

「ねぇ!!」
「あ?」
「庄左ヱ門!!似てるでしょ?」
「・・・似てなくはないが、そこまでじゃないな」

三郎に見せると、まじまじと見た後、にやりと笑ってそう言った。

「これくらいなら、私にだって作れる」

嘘だぁ、と言えば三郎は端切れを手に取って、てるてる坊主を作り出した。
手際よくさっさと作り、筆で顔を描き始める。
そして、あっという間に描き終ってしまった。

「どうだ?これでも嘘だと言えるか?」

三郎に見せられたてるてる坊主には、彦四朗そっくりの顔が描かれていた。
正直、すっごくよく似ているし、なにより可愛い。
なんだか悔しくなって、つい負けたくないと思ってしまった。
気付けば、端切れに手を伸ばし、新たなてるてる坊主を作り出していた。
三郎に負けず、私も手際よくさっさと作り上げ、顔を描き始める。
庄左ヱ門、彦四朗の次に描くなら、彼しかいない。

「どう?勘右衛門よ」
「それならば、私は・・・っと、雷蔵だ」

私が勘右衛門てるてる坊主を見せてる間も、手を止めずに新しいのを作っていた三郎は、雷蔵の顔を描いて私に見せる。
全く、私のを見る時くらい手を止めたっていいじゃないか。
そういう私もちらりと三郎のを見るだけで、新しく出来上がったのに兵助の顔を描いて見せる。

「・・・」
「・・・」

こうなると、いよいよ歯止めが利かなくなり、競うようにてるてる坊主を作っては顔を描いた。
八左ヱ門、三治朗、しんべヱ、きり丸、乱太郎、伊作先輩、伝子さん・・・と次々に作っていった。



そうして、様々な顔が描かれたてるてる坊主が20個以上は出来上がった頃、庄左ヱ門と彦四朗がやってきた。

「先輩方、何をされてるんですか?」
「あ、見て見てコレ。そっくりでしょ?」
「・・・先輩は委員会の仕事もせずに、遊んでおられたんですか?」

大量のてるてる坊主を見た庄左ヱ門に怒られてしまった。
・・・相変わらず、庄ちゃんは冷静なんだから。





明日、天気にな〜れ





先輩、てるてる坊主って晴れたら目を書き入れて、神酒を供えて川に流すんですよ」
「え?」
「だから、先に顔を描いてしまうのは・・・」

彦四朗は物をよく知っているなぁ、と感心しつつ、新しいてるてる坊主を作り始めた。
今度は、明日晴れますように、と祈りを込めながら。










2012.1.24 浹





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